Small Talk 2

旅の記録 + ちょこっと日常のあれこれ を綴ります

pierrealechinksy.jpgBunkamuraで開催されている『ピエール・アレシンスキー展』に行ってきた。
ピエール・アレシンスキー(1927年~)は、ベルギーの現代美術作家。日本の禅や書道、そして漫画から少なからず影響を受けた作家とのこと。

第1部 コブラに加わって
コブラ(CoBrA)とは、コペンハーゲン、ブリュッセル、アムステルダムの頭文字をとった、第二次世界大戦後の北欧、西欧でおこった前衛的な芸術運動。アレシンスキーは若くしてこの活動に加わっていたのだという。
こちらに展示されていたのは、「職業」シリーズで、身体がハシゴになっている『消防士』など、発想の豊かなものが見られた。

第2部 「書く」から「描く」へ
墨で描かれた、丸く剥いたオレンジの皮を描いた連作が印象に残った。
といっても、その作品の良さがワタクシにはピンと来なかったけれども。

第3部 取り囲まれた図像
ポスターにも使われている「至るところから」をはじめ、中央(または上部)の絵の周り(下部)に、四コマ漫画のように小さな絵を配した作品がずらり。ニューヨークの美術館のホールにも飾られていたという『ボキャブラリー I~Ⅷ』など、大きさも大きな作品が目立った。
『魔法にかけられた火山』など、アレシンスキーは火山を好んで描いたのだという。古今東西(?)、芸術は爆発、なんでしょうか。

alechinsky.jpg第4部 記憶の彼方に
魚拓ならぬ”マンホール拓”を使った作品や、昔の手紙、航空図などの上に新たに絵を描き新しい作品としたものなど、新しい表現方法を模索している様子がわかるものが多かった。

第5部 おとろえぬ想像力
90歳近くになった現在も創作活動を続けているアレシンスキーの最近の作品、円形の作品が目立った。
こちら(→)のフォトスポットに使われていた『デルフトとその郊外』もその一つ。

館内ではアレシンスキーが日本滞在中に撮った『日本の書』というドキュメンタリーも見ることができた。

迫力、勢いのある筆づかいが感じられ、自分の想像力、創造力の赴くままに描いているのかなぁ、、、、という印象。
勝手な想像だけれども、アレシンスキー自身が描いていること自体を楽しんでいるようにも見えた。

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peterrabbit2016.jpgBunkamuraで開催中の、『ビアトリクス・ポター生誕150周年 ピーターラビット展』に行ってきた。

構成と、展示作品の感想などをメモ。

プロローグ
ピーターラビットの生みの親、ビアトリクス・ポターは、1866年ロンドン生まれ。上流階級に生まれ家庭教師により教育を受ける。
ペットの暗号で日記を書いていたらしく、その一部が展示されていた。

1章 ピーターラビットの誕生
ビアトリクスの家庭教師の息子が病気のときに、4匹のうさぎの絵手紙を描いて贈ったことがピーターラビット誕生のきっかけ。その手紙を受け取った少年は大事に保管していたとのことで、その写しが展示されていた。
『ピーターラビットのおはなし』は最初は自費出版され(私家版と呼ばれる)、安く制作するため手のひらサイズの大きさで、白黒刷りだった(なお、出版社に持ち込んだときにも、手軽に手に取れるようにと言っていたが、断られていたようだ)。

2章 絵本シリーズの世界
『グロースターの仕たて屋』、『りすのナトキンのおはなし』(大きな尻尾を帆にして川を渡る絵がかわいい)、『ベンジャミン バニーのおはなし』(玉ねぎをおみやげにするピーター(↑)がいじらしい)、『2ひきのわるいねずみのおはなし』、『ティギーおばさんのおはなし』、『パイがふたつあったおはなし』、『ジェレミー・フィッシャーどんのおはなし』(蛙が主人公。キモカワイイの元祖?)、『こわいわるいうさぎのおはなし』、『ずるいねこのおはなし』、『モペットちゃんのおはなし』(ねずみを捕まえる子猫モペットちゃんがかわいい)、『こねこのトムのおはなし』、『あひるのジマイマのおはなし』、『ひげのサムエルのおはなし』、『ジンジャーとピクルズやのおはなし』、『のねずみチュウチュウおくさんのおはなし』、『カルアン・チミーのおはなし』、『こぶたのピグリン・ブランドのおはなし』、『まちねずみジョニーのおはなし』などの口絵、挿絵がたっぷりと展示されていた。

3章 ビアトリクス・ポターの人生
湖水地方のスケッチのほか、ビアトリクス・ポターの肖像画、彼女が使っていたパレットなどが紹介されていた。
農場経営にも積極的で羊のブリーダーもしていたというのは驚き。彼女が暮らしたヒルトップ農場は、ナショナル・トラストにより管理され、今でも当時の状態を保っているのだという。

おはなしの内容は意外とダークだったりするけれど(ピーターのお父さんはパイにされてるし・・・)、ほんわか優しい挿絵たちに、癒されました。

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toiledejouy.jpgBunkamuraミュージアムで開催中の、『西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展』に行ってきた。

トワル・ド・ジュイというのは、ヴェルサイユに程近いパリ近郊の町ジュイ=アン=ジョザスの工場で製作された、西洋更紗(さらさ)のこと。
16世紀に東インド会社によってインド更紗がヨーロッパにもたらされ、洗濯もできて扱いやすいコットンプリントは、ヨーロッパで大流行。
しかし、伝統的な毛織物などテキスタイル業者からの反発もあり、フランスでは、1686年から73年間にも渡って、インド更紗の輸入、さらにはその着用まで禁止されてしまった(・・・フランスらしい)が、その解禁にあたり、ドイツ出身のプリント技師、クリストフ=フィリップ・オーベルカンプが招かれ、ジュイ=アン=ジョザスに工場が設立され、そこで様々なコットンプリントが生み出された。
特徴的なのは、田園風景を描いたものや(産業革命後、田園での生活は庶民のあこがれだった)、黒地に花がいっぱいにプリントされたグッド・ハーブスなど。
トワル・ド・ジュイのコットンは、当時大流行し、マリー・アントワネットも普段着にはコットンプリントのドレスを着用していたらしい。

展示内容は、

プロローグ:田園モティーフの源泉
フランドル地方のタペストリーの展示。

第1章:インド更紗の熱狂
インドのほか、中国のものも。インド更紗のパッチワーク(?)の江戸時代の下着や、江戸時代の商人が使っていたサンプル本(反物切本帳)なども。

第2章:トワル・ド・ジュイの工場設立
動物画家で、トワル・ド・ジュイのデザイナーであった、ジャン・バティスト・ユエのデザインの、『工場の仕事』というプリントが興味深かった。

第3章:木版プリントに咲いた花園
木版プリントは、カラフルな花のモチーフのものが多く、多彩なデザインが見られるサンプル・ボードも面白かった。

第4章:銅板プリントに広がる田園風景
銅板プリントは、モノトーン。より繊細な柄が表現されている。
マリーアントワネットと言われている女性が描かれていたり、当時流行していた気球が描かれていたり。

エピローグ:受け継がれる西洋更紗の魅力
工場は1815年に閉鎖。その後、トワル・ド・ジュイのデザインは、英国のウィリアム・モリスなどに受け継がれていく。レオナール藤田の裸婦像の中に、トワル・ド・ジュイの布がベッドに使われているところが描かれていた。

という内容。
時代の流れに沿っての展示で、わかりやすかった(美術展というより、博物展という印象)。

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Bunkamuraミュージアムで開催されている、ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞に行ってきた。
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歌川国芳と歌川国貞、幕末に大人気だったというこの二人の浮世絵師の作品の展覧会。展示されていた作品はすべて、ボストン美術館所蔵のものとのこと。ボストン美術館、かれこれ15年近く前に一度行ったけど、浮世絵のコレクションは全然見なかったなぁ・・・(若干、後悔。いや、この機会にとっておいたと思っておこう)。

歌川国芳(1798 - 1861)は豪快な武者絵と大胆な構図が、歌川国貞(1786 - 1865)は粋な美人画や緻密な表現が特徴で、二人とも幕末に活躍した浮世絵師。

構成と、印象に残ったものをここにメモ。

一幕目の一 骸骨彫物伊達男(スカル&タトゥー・クールガイ)
本展覧会のポスターにも使われている、髑髏が印象的な『国芳もやう正札附現金男 野晒悟助』
猫が組み合わさって髑髏にしているところがとても面白い(国芳は大の猫好きで知られる)。

一幕目の二 物怪退治英雄譚(モンスターハンター&ヒーロー)
このエリアのハイライトは、3枚の絵のうちの2枚を使って大きく描かれた骸骨が一度見たら忘れられない、『相馬の古内裏に将門の姫君瀧夜叉妖術を以て味方を集むる 大宅太郎光国溶解を試さんと爰に来たり竟に是を滅ぼす』。国芳の代表作のひとつと思われ、グッズもたくさん売られていた(ワタクシも思わず手ぬぐいを買ってしまった)。

一幕目の三 畏怖大海原(ホラー・オブ・ウォーター)
為朝(ためとも)を助けに来た天狗がモノトーンで描かれた国芳の『讃岐院眷属をして為朝をすくふ図』は面白かった。モノトーンで描くという発想はどこから湧いてきたのだろう???

一幕目の四 異世界魑魅魍魎(ゴースト&ファントム)
娘を殴り殺そうとする老婆が大迫力の、国芳の『観世音霊験一ツ家の旧事』。この老婆は、若い美しい娘を使って旅人を引き入れ、寝入ったすきに旅人を殺して金品を盗んで生計を立てていたが、あるときこの娘が旅人の青年に一目惚れしてしまい、その青年の身代わりとなって老婆に殺されたというエピソードがもとになったもの。

一幕目の五 天下無双武者絵(サムライウォリアー)
柴田勝家の勇猛ぶりを描いた国芳の、『水瓶砕名誉顕図』は、勝家に倒された敵方の武将たちが宙を舞っていたりして、映画のワンシーンのようだった。

二幕目の一 三角関係世話物(トライアングル・オブ・ラブ)

二幕目の二 千両役者揃続絵(カブキスター・コレクション)
淡いバックの色使いと紋様がポップだった国貞の『御誂三段ぼかし』は素敵だった。

二幕目の三 楽屋裏素顔夢想(オフステージ)
芝居小屋の様子を描いた作品が数点あり、ごちゃごちゃしているけれども、一人ひとりちゃんと表情や着物が描き分けられていて関心した。

二幕目の四 痛快機知娯楽絵(ザッツ・エンターテインメント)

二幕目の五 滑稽面白相(ファニー・ピープル)

二幕目の六 今様江戸女子姿(エドガールズ・コレクション)
国貞の代表作、『当世三十二相』から6点。ポスターに使われている、手紙をくしゃくしゃにしている女方が描かれているのは『よくうれ相』
国芳の作品は、『縞揃女弁慶』シリーズが多く展示されていた。天保の改革で質素倹約が奨励され、華美なものが禁止された時代に、縞模様(ギンガムチェック)の着物が流行ったのだという。

二幕目の七 四季行楽案内図(フォーシーズン・レジャーガイド)

二幕目の八 当世艶姿考(アデモード・スタイル)
この最後のコーナーのみ写真撮影が許されていたので、いくつか紹介。

こちら(↓)は、いずれも国貞の作品で、口紅だけ赤い色が入っているが、残りは藍と墨の濃淡で表現されているもの。背景には夜桜が描かれていて、今の季節にぴったり?!
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こちら(↓)左も国貞の作品で、『本朝風景美人競 陸奥松島』、右の作品は、『見立邯鄲』。団扇の透け感が印象的。
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こちら(↓)も国貞の作品、『全盛遊 三津の あひけん』。左からだと、大坂新町、江戸新吉原、京嶋原
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これ(↓)も国貞の作品で、それぞれ着物の柄がひな人形だったり羽子板や毬だったりと、とっても凝っていてゴージャス。人形屋(?)がスポンサーになって描かせたものなのだろう、とのこと。浮世絵は江戸時代は当時のポップカルチャーであり、さながらファッション雑誌のようなものだったようだ。
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作品数も多く、展示の仕方も工夫されており、解説も丁寧で、かなり楽しめた。
ワタクシは、ダイナミックでやんちゃな感じのする国芳の作風のほうが好き
ちょっとでも興味があれば、足を運ぶ価値アリ。おすすめです!

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Liverpool.jpg渋谷のbunkamuraミュージアムで開催されている、『英国の夢 ラファエル前派展』に行ってきた。
リバプール市内とその近郊にある、レディ・リーヴァ―・アート・ギャラリー、ウォーカー・アート・ギャラリー、サドリー・ハウスの3館から成るリバプール国立美術館所蔵のラファエル前派の作品が集められた企画展。
ラファエル前派というのは、ルネサンスの巨匠ラファエル以前の絵画への回帰を唱えた一派で、ジョン・エヴァレット・ミレイ、ウィリアム・ホルマン・ハント、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティを中心にした7人の若者が1848年に結成したラファエル前派兄弟団と彼らの影響を受けた画家たちのこと。

展示は、
第Ⅰ部 ヴィクトリア朝のロマン主義者たち
第Ⅱ部 古代世界を描いた画家たち
第Ⅲ部 戸外の情景
第Ⅳ部 19世紀後半の象徴主義者たち

という構成。

第Ⅰ部は、このポスターにも使われている『いにしえの夢 - 浅瀬を渡るイサンブラス卿』(馬が異常に大きい!)、恋人である兵士との別れを惜しむ女性のドレスの質感が素晴らしく描かれた『ブラック・ブランズウィカーズの兵士』など、ラファエル前派を代表する画家、ジョン・エヴァレット・ミレイの作品がずらりと並んでいた。
そのほか、写真のように細かく精緻な描写で印象に残ったダニエル・マクリースの『祈りの後のマディラン』、赤毛のゴージャスな女性を描いたダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの『シビラ・パルミフェラ』なども見どころのひとつ。

第Ⅱ部は、ヴィクトリア朝時代の英国人が好んだ古代ギリシャ・ローマの世界、それも民衆の日常生活が描かれた作品が並ぶ。その代表的な画家、ローレンス・アルマ=タデマの作品は、20世紀のハリウッド映画にも影響を与えたのだという。

第Ⅱ部は、田舎の素朴な風景や暮らしの様子が絵画の題材となっていた。この背景には、産業革命が進んだこの時代、都市の住民にとっては農村での暮らしは憧れとなったことがあるという。

第Ⅳ部は、方向性の違いから短期間で解体してしまったラファエル前派兄弟団の後継者、エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ『デカメロン』や、ジョージ・フレデリック・ワッツ『十字架の下のマグダラのマリア』などが展示されていた。

これは絵を鑑賞するセンスのないワタクシの個人的な感想なのだけれども、ちょっと少女漫画チックというか(ロマン主義的というのだろうか)、キラキラ感のある絵が多かったように思う。

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2017-08